地続きだからこそ日本とは異なる楽しみがあるチェコの長距離列車【リレーブログ③】
こんにちはチェコ親善アンバサダーの新田浩之(にったひろし)です。2018年からチェコ親善アンバサダーをしています。チェコは計4回(2009年、2015年、2017年、2019年)訪れました。
普段は神戸にて鉄道を中心にいろいろな記事を書いています。現在はコロナ禍のため、ヨーロッパの古い時刻表を収集しています。
国をまたぐ長距離列車

さてチェコの長距離列車について書くわけですが、チェコの面積は日本の5分の1ほどしかありません。その代わり内陸国なので、様々な国との間で国際列車を運行しています。したがって、この記事では国際列車を中心に長距離列車を語りたいと思います。
2020年・2021年冬号『ヨーロッパ鉄道時刻表』によりますと、チェコ発の主な国際優等列車は以下のとおりです。
チェコ~ドイツ(プラハ~ドレスデン、ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン)
チェコ~スロバキア(プラハ~ブラチスラバ、コシツェ)
チェコ~ハンガリー(プラハ~ブダペスト)
チェコ~ポーランド(プラハ~クラクフ、ワルシャワ)
チェコ~オーストリア(プラハ~ウィーン、グラーツ)
チェコ~ロシア(プラハ~モスクワ)
夏期にはプラハからクロアチアのリエカ、スプリット方面の臨時列車も運行されます。このようにチェコから鉄道で様々な国にアクセスできるのがポイントです。なお新型コロナウイルス感染症により、運休している国際列車もあります。コロナ禍後に国際列車に乗車する際は事前にチェコ鉄道のウェブサイトで確認することをおすすめします。
同じ線路なのに様々な鉄道会社が走る

ヨーロッパの鉄道ではひとつの路線に複数の鉄道会社の車両が見られるのも特徴のひとつ。たとえばプラハ~オロモウツ間にはJRにあたるチェコ鉄道の他に、RegioJetとLEO Expressという私鉄があり、先述したチェコ~クロアチア間の臨時列車はRegioJetが運行します。
ここで注意したいのはチェコ鉄道のホームページや窓口ではRegiojetやLEO Expressの切符は購入できないということ。それぞれの鉄道会社のホームページや窓口から購入しましょう。
また2021年6月からウェブサイト「One ticket」で全ての切符が購入できるようになりました。こちらのサイトを使えば、あらゆる鉄道会社の運行情報や切符が同一ページに表示され、スムーズに購入できます。
長距離列車の車内を少しだけご紹介

最初に紹介するのはプラハ~ウィーン、グラーツ間を結ぶチェコ鉄道、オーストリア鉄道運営の特急「railjet」です。同車はプラハ~ウィーン間を約4時間で結び、近年はベルリン乗り入れも果たしています。
「railjet」はチェコ鉄道、オーストリア鉄道が保有し、それぞれ塗装が異なります。チェコ鉄道保有の車両は青色、オーストリア鉄道保有の車両は赤色を基調としています。

筆者は2017年にチェコ第二の都市ブルノからプラハまで「railjet」2等車に乗車しました。チェコに限らずヨーロッパの座席は体格のいいヨーロピアンスタイルなので、日本人にとってはグリーン車並み。かなりゆったりとした気分で鉄道旅行が楽しめます。

日本になくてチェコの鉄道にあるもの……それは食堂車。チェコの美しい風景を見ながらの鉄道旅行は最高です! 味は一般のレストランとそれほど変わらず、メニューも写真付なので英語が苦手な方も大丈夫です。またクレジットカードも利用できます。

ヨーロッパでも数は少なくなりましたが、夜行列車もまだまだ健在です。こちらは2019年に乗車したプラハ発ワルシャワ行き夜行列車の2等寝台「クシェット」です。「クシェット」は6人1室のコンパートメントになっています。車内は快適ですが、念のため貴重品は体から離さずにお休みください。
大揺れはしませんが、走行音は大きいというのが正直な感想。気になる方は耳栓を用意するといいでしょう。なお深夜時間帯~早朝は車内放送がないため、途中駅で降りる場合は降り遅れのないようにご注意ください。
チェコの鉄道と他の国との鉄道の違いは?orチェコの鉄道の良いところ

周辺の中東欧諸国の鉄道と比較すると、RegiojetやLEO Expressなどの長距離列車を走らせる私鉄が充実している点が挙げられます。今後もRegiojetがクロアチアへ臨時列車を走らせたように、魅力的な優等列車を登場させるのではないでしょうか。
運賃や効率を考えると鉄道よりもバスの方が有利かもしれません。しかし鉄道ではコンパートメントでの人々の出会いや食堂車など、様々な「楽しみ」が待っています。ぜひチェコで鉄道旅行をお楽しみください。

最後にほりいみほさんへの私の質問は「コロナ禍後に行きたいチェコのスポットは?」です。
次回もお楽しみに!