チェコの春を感じる食材「アスパラガス」
イースターまでの6回の日曜日を除く40日間を四旬節と言い、この期間は特定の食べ物を摂取しないといった「断食」の習慣があります。チェコでもこの時期に食べられる特別な食べ物があり、レストランでもイースター料理を堪能することができます。
イースター前の木曜日はチェコでは「緑の木曜日(Zelený čtvrtek)」と呼ばれ、この日は名前の通りパセリ、ほうれん草、若いイラクサなどを使った緑の食べ物を食べます。
春の野菜アスパラガスのフライ(Smažený chřest)
春の野菜の中でも一番おいしくて一番最初に食べられるのはアスパラガスです。アスパラガスは実は2500年以上も前から食べられています。中国とペルシャの医者はアスパラガスを薬として利用し、医学の父と呼ばれるヒポクラテスは奇跡の治療薬と賞賛しました。
しかし、料理としてのアスパラガスのレシピは、紀元1世紀の古代ローマの「アピシウス」という料理集に記録されたのが初めてです。アスパラガスは王の料理となりフランス王のフランソワ1世から太陽王と呼ばれたルイ14世まで宮廷で出されるようになりました。ルイ14世に至っては、庭師に毎日摘んでくるよう命じていました。アスパラガスの栽培は1750年頃からオランダ、フランス、ドイツ、そしてチェコといった国々を中心に、欧州諸国に広がりました。
チェコではモラヴィアの町イヴァンチツェがアスパラガスの生産で有名な場所の一つです。20世紀の中ごろまで、イヴァンチツェの周辺の畑ではヨーロッパで最高のアスパラガスが生産されると知られていて、当時は現在のピルスナービールの世界的な有名度より有名でした。イヴァンチツェのアスパラガスはウィーンの皇帝にさえ供給されたそうです。
ボヘミア人とモラヴィア人はアスパラガスを栽培しただけでなく、独創的な方法で調理していました。蒸しアスパラガスは誰でも知っていますが、アスパラガスのフライは試したことがありますか?
【材料】(4人分)
- アスパラガス 500g
- 水と白ワイン 2対3の割合
- 塩 少々
- 卵 2個
- 小麦粉 100g
- パン粉 100g
- 植物油/ひまわり油 適量
【作り方】
- 鍋に水と白ワインを入れて沸騰させます。アスパラガスを下茹でし、水をしっかり切ります。
- 卵をボウルに入れ、フォークで溶いておきます。
- 小麦粉とパン粉をそれぞれ別のボウルに入れ、アスパラガスに小麦粉、溶き卵、パン粉の順にでまぶします。
- 高温に熱した油で揚げます。
- サラダやマッシュポテト、溶かしバターを添えて召し上がれ!
ちなみにイヴァンチツェといえば、アール・ヌーヴォーの画家アルフォンス・ムハの生まれた街でもあります。彼も小さな頃は地元のアスパラガスをたっぷり堪能していたかもしれませんね♪