歴史も学べる!チェコ映画おすすめ3選
1989年11月、当時のチェコスロヴァキアでは民主化を求める動きが高まり、わずか1ヶ月あまりの間に共産党政権が倒されヴァーツラフ・ハヴェルが新大統領に就任、民主化が実現しました。
2019年は、「ビロード革命」と呼ばれるこの変革からちょうど30周年という節目の年です。この機会にチェコの歴史についてもっと知りたい、でも堅苦しい勉強はちょっと…という方は、当時の様子を描いた映画を観てみるのはいかがでしょうか?
今回のブログは、学生時代に留学を経験し、現在チェコ在住の木村桃子さんに、おすすめのチェコ映画について書いていただきました!
名監督が描いた当時のチェコスロヴァキア
こんにちは!
チェコといえば、可愛らしい挿絵が人気な絵本やアニメーションが有名ですね。
ところで、皆さんはチェコの映画をご覧になったことがありますか。
今回は、次々と名作を世に送り出したチェコの名監督、ヤン・スヴェラークの作品の中から特におすすめしたい映画を3つご紹介します。
スヴェラーク監督の映画は、チェコ人の生活や人々の心情に焦点をあてたヒューマンドラマが多いです。
チェコは、ちょうど100年前のチェコスロバキア時代から、ナチス・ドイツによる侵略、共産化、プラハの春、そしてビロード革命での民主化に至る、まさに激動の時代を経てきました。チェコに住む人々にとって、歴史が大きく動いたこの瞬間は遠い昔の話ではありません。
今回ご紹介する作品のなかでは、戦争や革命下を懸命に生きた人々の物語が繊細に描かれています。
チェコ語やチェコの歴史、文化などを学びたい方は必見です!
ジブリ映画監督、宮崎駿も絶賛のチェコ映画
ダーク・ブルー(2001)

日本が誇るジブリ映画の宮崎駿監督も推薦するほど、影響力の強い映画です。
舞台は1939年、第二次世界大戦下でナチス・ドイツの支配下だったチェコ。主人公である若い空軍の男性は、イギリスへ亡命して英空軍としてドイツと戦います。チェコ人としての誇りを持ち、命をかけて戦うシーンはとても迫力があり、軍用機で飛び回るシーンは宮崎作品の「風立ちぬ」をも連想させます。しかし、戦争終結後にチェコへ帰った時、主人公を待っていたのは酷すぎる現実でした。
戦時中の切ないラブシーンや友情の対立も細かく描かれていて、胸が熱くなる作品です。
不器用なおじさんと無垢な男の子のハートフルな名作
コーリャ 愛のプラハ (1996)

アカデミー外国語映画賞を受賞し、東京国際映画祭でもグランプリに輝いた名作映画です。
主人公のチェロを弾く演奏家は、怠惰でその日暮らしの生活を送るおじさんです。ある日、チェコの身分証が欲しいロシア人女性から大金をもらう代わりに、その女性との偽装結婚を許してしまいます。しかし、その女性は5歳の子供コーリャを置いて逃亡。主人公は、仕方なく、言葉の通じない5歳の子供の面倒を見ることにしました。その背景には、ベルリンの壁が崩壊、そしてプラハの民主化運動などが起こります。そんな中で深まっていく2人の絆に、自然と涙が溢れます。くすっと笑えるコミカルなシーンも魅力的です。
チェコの男の子を中心に、戦時中の生活を描いた作品
ベアフット(2017)

主人公は8歳のチェコ人、エダ。エダのお父さんがナチス・ドイツの命令に背いたことから、エダの家族は遠い親戚の住む田舎へ引っ越すことを余儀なくされます。住み慣れない土地で友達を作ろうとして失敗したり、親戚とうまく関係を築けなかったりして、エダは憂鬱な思いで暮らしますが、なんとかして新しい生活に慣れようと努力します。戦争の描写は少ないものの、戦時中のチェコ人の生活が細かく描かれており、ナチス・ドイツの占領下だったチェコ人の生活を垣間見ることができる興味深い作品です。
チェコの映画を見ることで生きたチェコ語を聞くことができますし、チェコ語を学習されている方にはぜひ見ていただきたいです。同時にチェコの歴史も学ぶことができるので、おすすめです。
木村 桃子
2012年に交換留学生としてチェコで1年留学する。その後、大学卒業から現在に至るまでチェコに住み、日本語教師としてチェコ人や他国の人々に日本語のプライベートレッスンを提供している。
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