Hamryのmasopust 全員集合写真

○◉● 今月のART ●◉○ -2019年3月

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私の思うART(芸術)とは人の心を震わせるもの全般を指します。チェコにはARTが溢れていて暮らしていく生活の延長に当たり前のようにそれはあります。

●○ 謝肉祭 (マソプスト) のこと ○●

2月から3月にかけてチェコではマソプスト(masopust)というお祭りが開かれます。

マソプストとはチェコ語で「肉よ、さらば!」という意味の言葉で、日本語では謝肉祭、いわゆるカーニバルのことを指します。イースター(キリストの復活祭)の46日前から、キリスト教では肉や卵を食べないという断食状態に入ります。お肉が食べられなくなる前に、存分に飲み食いしよう!というのがマソプストです。

今回は、hilinsko地方・hamry村のマソプストに行ってきました。ユネスコ世界無形文化遺産に登録されているこのお祭りは、200年以上前からその形を変えることなく続いているそうです。各キャラクターに扮した男性陣が楽器隊と共に村の家庭を訪問し、歌い踊り、振舞われる食事やお酒を飲みながら、人々の健康と幸福を祈願します。見物客や村人たちを巻き込みながら、一日中、村を練り歩くのです。

各家庭で振舞われる料理たち

日本のお祭りもそうですが、チェコでも各地方によってで様々なマソプストの解釈、様式があるようです。hamry村ではまず、王様と古女房が門戸を叩き、続いて兵隊(踊り手)と雌馬が楽器隊の音楽に合わせて踊ります。ソーセージを身体に巻いたエロ医者は診察をしたり、髭剃りや髪を整えたり。熊は人々を襲い雪にダイブ。煙突掃除夫と藁人形は皆の顔に炭を塗っていきます。

各家庭の軒先で

衣装というかもはや装置のような造形のものもあり、様々なアイデアや工夫が施されていました。踊り手の鎧には鳴り物がコインで作られていたり、医者の小道具たちも全て手作りでおもちゃにもいろんな仕掛けがしてあったり。みなさん、割と激しい動きをするのですがかなり丈夫に作られています。藁や毛皮など、防寒も備えているようでした。

身だしなみを整える
兵隊の鳴り物衣装
馬と子供・今回の好きな写真の一つ

朝から日が暮れるまでお祭りは続きます。そしてフィナーレは雌馬役が倒れ、皆で歌を歌い、そして復活して(と解釈した寸劇のようなもの)終了です。丸一日ずっと行列についていたので流石にクタクタでしたが、最後にはすっかり顔も覚えられ、肩を組み歌を歌い、来年もまた来るのだろう?とお酒をご馳走になりましたよ。英語はあまり通じませんでしたが、人々は皆フレンドリーで、そこには豊かに育まれた時間がありました。

●○ ザビヤチカ(zabijačka)

zabijačkaとは豚の屠殺行事のことです。丸々一頭を余すことなく食べ尽くす!というもので内臓や豚の血(血はソーセージに加工する)などを使うのが特徴です。Hamryでは食べることができず残念に思っていたら、偶然近くでザビヤチカのイベントを開催しているとのことで行ってみました。 Brnoからバスで北へ30分ほど。Brno-řečkovice駅の近くの工場内の食堂です。

工場内の食堂・入り口でレバーのグラーシュ

店内は家族連れやグループのお客さんで賑わっていました。いわゆる食堂スタイルで、好きなものをピックアップして、最後にお会計をします。試食コーナーや持ち帰り用のソーセージなどもありました。ドリンクはもちろんビールで!

シェフと料理たち

内臓好きな私には少し物足りないほど癖がなく、どれも美味しくいただきました。茹豚の煮こごりみたいなやつ(テリーヌ状)は生玉ねぎと一緒にお酢をかけていただきます。
血の入ったソーセージは絶品で、コンビーフみたいな食感。丁寧に作られた味でした。
マソプストはやはり食も味わってこそだなぁ。。。
大満足でBrnoの街に戻ると街中でも偶然にザビヤチカを開催していました。
小ぶりの豚でしたがやはり吊ってあると迫力ありますね。こちらではレバかつのような料理が人気でした。流石にお腹がいっぱいで味見はできなくて無念。来年に再トライです。

Brnoの街中にて
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この記事を書いた人

行貝 チヱ

行貝チヱ(Chiye NAMEGAI)
写真家・フォトコラージュアーティスト。劇場型移動式写真館「行貝写真館」主宰。国内外の展示やアートプロジェクトに多数参加。 
静岡東部で活動するScale Laboratorysy立ち上げメンバー。2019年のPQに向けて現在、南モラヴィアの中心地、美食の街Brnoにて語学と社会勉強中。
ウェヴサイト 行貝写真館Scale Laboratory
Email chiyenamegai@gmail.com