緑に包まれた中禅寺湖畔でチェコの建築に触れてみませんか?
チェコを訪れた際に建築物や街並みに魅了されてしまう方は多いかと思いますが、日本にもチェコ人建築家が残した建築物が数多くあるのをご存知でしょうか?今回は夏の旅行にもぴったりの、国内チェコスポットをご紹介します。
「夏は外務省が日光に移る」
明治中頃から昭和初期頃まで、日光中禅寺湖畔には各国大使館の別荘が建てられていました。
当時は「夏は外務省が日光に移る」とまで言われており、今も国際的避暑地の雰囲気が残されています。
湖がきれいに見える一等地に、自然の中に溶け込んだ旧イタリア大使館別荘があります。二階建ての本邸は、チェコ出身の建築家、アントニン・レーモンド(1888-1976)の設計により1928年に建設され、1997年まで歴代のイタリア大使が使用していました。今は栃木県による修復を経て、イタリア大使館別荘記念公園として一般公開されています。

周囲と調和するレーモンドの設計
純木造二階建てのこの本邸の特徴は、なんといっても地元の杉皮材を市松模様張りにした和洋折衷の外壁と内部仕上げです。今見ても斬新なデザインに思わず息をのんでしまいます。
レーモンドは、公共施設などの大規模な建造物も数多く手がけましたが、人の住む家も作り続けたそうです。人の生活に寄り添うような優しさを感じるのはそのせいかもしれません。
内部空間と風景が溶け込み、外の中禅寺湖が庭の一部のように一体になり、一日をゆったりと過ごしたくなる場所です。今の季節新緑の美しさも一際です。

風に揺れる葉の音を楽しみながら、ぜひお散歩してみてくださいね。
イタリア大使館別荘記念公園
所在地: 〒321-1661 栃木県日光市中宮祠2482
電話: 0288-55-0880
https://www.nikko-nsm.co.jp/
国内でレーモンド建築を楽しもう!
そのほかにも、星薬科大学や群馬音楽センター、軽井沢聖パウロカトリック教会など、レーモンドが日本国内で手掛けた建物はいくつも現存しています。ぜひ日本でも「チェコトリップ」してみてください!
(協力:建築家 土屋重文)