列車天国ブルノ本駅
ウィーンから約1時間30分
プラハに次ぐチェコ第二の都市といえばブルノです。その陸の玄関口、ブルノ本駅は、多彩な列車を自由に間近で観察できる場所としておすすめです。チェコに限らずヨーロッパの駅は基本的に改札がないため、チケットを持っていなくても散歩気分で、気軽にプラットホームに上がれるのがよいところですね!
駅前をトラムが行き交って活気あふれるブルノ本駅。
歴史あるブルノ本駅
ブルノ本駅の歴史は古く、開業は1838年。翌1839年に本格的な営業を開始しました。プラハで最初にできた鉄道駅であります、現プラハ・マサリク駅の開業が1845年ですから(当時はプラハ駅として開業)、こと鉄道に関しては、プラハよりもブルノの方が、歴史が長いことになります。
当時のチェコは、ハプスブルク家が当主のオーストリア帝国の帝国領に組み込まれており、ブルノ本駅の行き止まり式ホームにも、帝都ウィーンからの列車が到着していました。地理的にもブルノは、プラハよりもウィーンに近いのです。特急列車での所要時間はプラハ本駅へが約2時間30分なのに対し、ウィーン中央駅へはわずか1時間30分ほどです。現在の駅舎は19世紀末から20世紀にかけて建設が進められた3代目のもので、アール・ヌーヴォー様式を取り入れた美しいファサードがそのシンボルになっています。

ブルノ本駅は旧市街の外縁に立地しており、隣接する丘の上には、双塔が特徴の聖ペテロ・パウロ大聖堂。ブルノに向かう列車の車窓にこの大聖堂が見え隠れするようになると、ブルノ到着が間近であることがわかる仕組みになっています。ブルノ本駅から旧市街の中心の自由広場へは、トラムの線路に沿って石畳の道を歩くこと5分強でアクセスできます。
多彩な車両が続々登場!
ブルノはドレスデン(ドイツ)~プラハ~パルドゥビツェ~ブルノ~ブジェツラフ~ブラチスラヴァ(スロヴァキア)~ブダペスト(ハンガリー)を結ぶ、国際列車が往来する幹線上にあるので、ブルノ本駅では、プラハからオストラヴァ方面に向かうスーパーシティ・ペンドリーノは乗り入れませんが、それ以外のチェコ鉄道が運行する多くの列車を見ることができます。なかでももっとも華のある列車が、プラハ~ブルノ~ウィーン~グラーツ間を結ぶ高速列車レイルジェットでしょうか。このレイルジェットは、目の覚めるようなブルーのチェコ鉄道編成と、あざやかなワインレッドのオーストリア連邦鉄道編成の2タイプが楽しめます。(注1)

また1970年代から80年代にかけて製造された古参機242形電気機関車や非電化区間で活躍する750形ディーゼル機関車など無骨な機関車群が牽引する客車列車、60年代から活躍する560形電車、そして最新鋭の650形電車などが、入れ代わり立ち代わり、千両役者を思わせる貫禄で、ゆるやかなS字を描く通過式ホームに登場します。そんな列車を眺めていると、誰もが幸せな気分に包まれて、気が付くとあっという間に時間が経ってしまうことでしょう。






また巨大なトレインシェッドに覆われたプラハ本駅とは異なり、プラットホーム上にしか屋根がないので写真撮影にも好都合。ですからブルノ本駅を利用する際は、1時間前を目安に駅に着いておけば、ゆっくり過ごせて安心できることでしょう。
さらに編成全体を俯瞰撮影したいのでしたら、大聖堂の展望台(午後のみのオープン)に足を運んでみるのもおすすめです。
(注1)2018年12月9日からブルノ本駅の改修工事が開始されました。そのため、2019年12月14日まではレイルジェットを含む多くの列車が、ブルノ本駅ではなく、dolní nádražíとŽidenicích への停車となりますので、ブルノから電車をご利用の際はご注意ください。