いろいろ試したい!チェコの定番スイーツたち

  • ブックマーク

チェコに旅行に行かれた方ではパン屋さんやケーキ屋さん、カフェに並ぶスイーツのショーケースに目を奪われた人もいるのではないでしょうか。日本では見かけないスイーツに思わずワクワクしてしまうもの。

特にクリスマスシーズンは、12月に入るとチェコのお母さんたちは大忙し!各家庭で何種類ものクリスマスクッキーが大量に作られ、大人も子供もクリスマスまでつまみ食いを、クリスマス中は机の上に出されて消費していきます。ひたすら同じ料理やお菓子を食べるのはちょっと日本のお正月のお節料理に似ていますね。大使館でも外交官の奥さんたちが作ったお菓子が会議室や受付に置かれ、この光景を見ると、あぁ、もうクリスマスだなぁと感じるのです。

今回はチェコグルメの中でも関心の高いスイーツについて、チェコのお菓子屋ツックルの小澤さんに寄稿いただきました。

チェコのお菓子って?

チェコといえばビールが有名ですが、実は美味しいスイーツも沢山あるんです!お菓子屋さんやパン屋さんには、日本ではなかなか味わえないお菓子たちが並んでいます。

チェコ人に愛されるケーキ屋さん「オヴォツニースヴィエトゾル(Ovocný Světozor)」のショーケース

チェコの代表的なケーキの一つがバーボフカ(Bábovka)。クグロフ型で焼くスポンジケーキで、家族が集まる日曜日におばあちゃんが焼いてくれるような、家庭で親しまれているケーキです。そのためレシピは様々で、卵をたっぷり泡立てる作り方や、ただ材料を混ぜるだけのもの、油分はオイルだったりバターだったり…。生地は日本のスポンジケーキよりも密度が高いのが特徴です。味に決まりはありませんが、バニラとココアのマーブルが定番です。

ツックルで提供しているバーボフカも、定番のマーブルです。

ケーキ屋さんやカフェでは、蜂蜜ケーキのメドヴニーク(Medovník)をよく見かけます。チェコを含むスラヴ民族を代表する食材の一つでもある蜂蜜をたっぷり味わうことができるケーキです。蜂蜜を使った生地に、コンデンスミルクやサワークリームなどで作ったクリームを何層にも重ね、ナッツを合わせることも。茶色い素朴な見た目ながら、とても贅沢な味わいのケーキです。焼きたてはさっくりした生地ですが、クリームを重ねて数日置くことでしっとりし、全体の味もまとまってきます。お店によって味や見た目が微妙に異なるので、ぜひ食べ比べしてみて下さい!

オヴォツニースヴィエトゾルのメドヴニーク。キャラメルクリームと砕いたクルミが美味しい。

また、多くのチェコ人に好まれる素材がケシの実です。日本では、あんぱんの上に乗っていることが多いですね。チェコではケシの実を主役にした焼き菓子や、ケシの実をスパイスなどと一緒にあんこのように炊いたペーストを使ったパンが親しまれています。ケシの実はそのままではなく、すりおろして使います。そうすることで風味がより際立って、ケシの旨みを存分に味わえるのだそうです。チェコではケシの実を挽くためのミルも売られています。

ケシの実を挽くための器具ムリーネック(Mlýnek)。ハンドルを回すとケシの実がすりつぶされて出てきます。

まるで宝箱!クリスマスのツックロヴィー

チェコの家庭では、アドベント(クリスマス前の四週間)の第一週から、沢山の種類の小さなクッキーを焼きます。このクリスマスクッキーをツックロヴィー(Cukroví)といいます。作ったツックロヴィーは大きな缶や箱に入れて食糧庫やベランダなどで寝かせ、クリスマスイブの夜からみんなで食べます。長期間寝かせることでどのツックロヴィーもしっとりとした食感になることがポイント。そのためツックロヴィーは、油分の少ないものから焼いた方がよいといいます(長時間寝かせられるので)。

このツックロヴィーには、焦がすと病気になる、成功すると来年を健康で過ごせる、という少し怖い言い伝えもあります。作る側はヒヤヒヤですね…。

ツックロヴィーは、そのレシピだけで一冊の本になるほど沢山の種類があります。色々な形のツックロヴィーを詰めた缶はまるで宝箱のよう!ここでは、その一部をご紹介します。

友人が作ってくれたツックロヴィー。中央ロフリーチュキ、上リネツケー、右ペルニーチュキ、左ヴォスィーフニーズダ

・ヴァニルコヴェー・ロフリーチュキ(Vanilkové rohlíčky)
ホロホロとした食感のバニラ風味のクッキー。すりおろしたナッツを加えることも。U字の形はチェコで親しまれているパン、ロフリーク(Rohlík)から来ていると言われています。

・リネツケー・コラーチュキ(Linecké koláčky)
バタークッキーでジャムなどをサンドしたクッキー。好みの型で抜いて作ります。カフェやお菓子屋さんでよく見かけるクッキーでもあります。

・ペルニーチュキ(Perníčky)
スパイスクッキー。油分が少なく生地に蜂蜜を加えることが多いです。チェコのスーパーではこのクッキーやスパイスケーキを作るためのスパイスミックスも売られています。星やツリー、魚など色々なクリスマスのモチーフに抜いて焼きます。アイシングでデコレーションすることもあります。

・ヴォスィー・フニーズダ(Vosí hnízda)
蜂の巣を意味するお菓子。フチェリー・ウール(Včelí úl)とも言います。砕いたビスケットにチョコレートやコンデンスミルク、洋酒などを加えて練った生地を専用の型で成型し、バニラクリームを詰めてビスケットで蓋をします。

形も名前もユニークなお菓子たち

チェコには、日本ではなかなか見かけない、ユニークな形や名前を持ったお菓子やパンも存在します。どれもとても美味しいので、ぜひチェコで挑戦してみてください。

ブフタ(Buchta)

EMA espresso barのブフタ。こちらはプルーンのジャム入り

日本のちぎりパンにそっくりなこちらの菓子パン。チェコのパン屋さんの定番商品で、家庭でもよく作られています。一つ一つにトヴァロフというチーズのクリームやケシの実ペースト、果物のジャムなどを入れ、大きな長方形をした専用の鍋に並べて焼きあげます。お店では一つずつちぎって売っているので、軽い朝食やおやつにぴったりです。

インディア―ネック(Indiánek)

ツックラールナ・ミシャーク(Cukrárna Myšák)のインディア―ネック。ラズベリージャムが入っていました。

円柱の形をしたこちらのケーキの中身はメレンゲ。スポンジやビスケットにジャムやチョコレートガナッシュを乗せ、メレンゲを高く積み上げ、チョコレートでコーティングします。メレンゲが口でシュワシュワッと溶けて、食感も楽しいケーキです。

 

ラクヴィチュキ(Rakvičky)

カフェ・ムリーンスカ―のラクビチュキ。

こちらのクッキーは中が空洞になっていて、なんと名前は「棺桶」という意味なんです。ブラックユーモアの効いたネーミングは、いかにもチェコらしいですね。写真のように生クリームと一緒に食べることが多く、ザクッと歯ごたえのある香ばしい生地との組み合わせがおいしい一品です。

バラエティ豊かなチェコのスイーツたちを、是非お試しください!


小澤 美沙季(おざわ・みさき)
東京外国語大学チェコ語専攻卒業。在学中にチェコ共和国カレル大学に留学。
ル・コルドン・ブルーにて製菓を学び、菓子ディプロムを取得。
現在は都内菓子店に勤める傍ら、2017年12月よりチェコのお菓子屋ツックルとしてチェコのお菓子を作り、販売している。

◇チェコのお菓子屋ツックル◇
チェコのお菓子やケーキを販売。
主に月に一度の都内マルシェ出店やイベントへのケータリング、オーダーでの菓子作成を中心に活動している。

 

 

 

 

Facebook: https://www.facebook.com/cukr.mi/
Instagram: https://www.instagram.com/cukr_cukr/

  • ブックマーク

この記事を書いた人

駐日チェコ共和国大使館

駐日チェコ共和国大使館は、日本においてチェコ共和国を代表する機関として位置付けられています。
ビザ取得手続きや証明書認証をサポートする領事部、日本とチェコの政治情報を扱う政務部、経済・ビジネス面での両国間の発展を手助けする経済・商務部、文化活動を推進する文化部などがひとつのチームとして、チェコと日本の架け橋となって活動しています。
大使館のホームページではイベントレポート、事務手続きや申請関連のお知らせがご覧いただけます。また、フェイスブックのオフィシャルページでは、最新情報やチェコ関連情報を随時発信しています。ぜひチェックしてみてください。

日本におけるチェコビジネス年HP

担当カテゴリ:チェコグルメチェコで学ぶ、チェコを学ぶメイド・イン・チェコこぼれ話