ENGI-MON České Budějoviceにて

○◉● 今月のART ●◉○ 特別編:プラハカドリエンナーレ2019

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初めてチェコに訪れたのはちょうど2015年の今頃でした。ブルノに住む友人の誘いとプラハカドリエンナーレが主な目的で、プラハとブルノへ滞在し、芸術鑑賞と骨董市、グルメや美しい街並みを満喫し、すっかりチェコに魅了されてしまったのでした。4年後のPQ(プラハカドリエンナーレの通称)も絶対に観に来るぞ!と思っていたら、留学の決まった昨年度、ひょんな流れとご縁で応募し、出場する権利を得たのでした。
今回は日本からこのPQに参加したENGI-MON(Scale Laboratry)のメンバーとして、ツアーに同行し、その芸術文化交流の様子をリポートいたします。

Prague Quadrennial 2019

PQ2019のメイン会場

プラハカドリエンナーレ とは、4年に一度にチェコの首都プラハで開催される国際的な舞台芸術展です。国内では知名度は低いですが、世界中から約70カ国が参加し、来場者は3万5千人という、国際的なイベントです。1967年に始まり今回で14回目。今年の会場はIndustrial Palaceという展示場でした。会場内外、及び周辺施設では展示やパフォーマンスが随時行われており、各国および地域部門、 学生部門、極端な衣裳部門、劇場建築部門、そしてパフォーマンス部門などがあります。

前回はプラハの街中のあちらこちらで突如パーフォーマンスがはじまったりで、街全体を使った印象でしたが、今回は会場が一つになりコンパクトな印象です。各国のブースが近いのでインパクトやクオリティの比較がしやすい反面、近すぎて干渉しあってしまう側面もあり。各国の芸術文化に対する意識や経済のかけ方の差が顕著にあらわれていました。

ルーマニア
ラトビア
日本の映像ブース
写真展示エリア
トークショウの会場

■ カレル大学でのワークショップ ■

今回は、スケラボの代表の川上とカレル大学の准教授のマリエさんが飛行機で偶然隣り合わせたというご縁で(実話です!)カレル大学の教育学部の生徒さんとコラボレーションする事になりました(過去記事参照)。2日間に渡って開催されたワークショップ(WS)では、パフォーマンスに使う大きな行灯と小さな行灯作るWSとダンスの振り付けを創作するWSが行われました。死者のための祭り(日本で言う盆踊り)について事前にディスカッションを重ね、チェコと日本の風習や文化の相違点、共通点などから今回のWSの内容が決まりました。みなさん、切絵も習字も上手でしたね。

行灯と習字
本番学生さん用の羽織は衣装作家、西川千明さんによるもの
小行灯完成の記念写真

2日めには行灯完成!この行灯たちは盆踊りの中央部分にシンボルとして設置されます。その後、PQ用の踊りの振り付けをみんなで考えました。このENGI-MONと言うプロジェクトは土地にあった独自の振り付けを加えることができます。

実はPQを迎える前にČeské Budějovice の Kredance に誘致していただき(トップ写真)公演をしてきました。その時のキーワードは、モルダウ(川)・PIVO(ビール)・česky(C)拝(手合わせ)など。

そして今回のWSで新たに生まれたキーワードはライオン・ハピネス・王冠。文章に書くとなんのことやらな感じですが、これらのキーワードから振り付けを起こし、本番に向けて練習をしました。当日本番に参加する生徒さんのために、日本から着物の着流しをベースにした衣装を用意。衣装作家の西川千明さんによるもので、今回のENGI-MON出演者(総勢約25名・着ぐるみ以外)の全ての衣装を手がけています。PQは舞台美術の祭典ですので、これらの衣装が作る日本の世界観は動く舞台美術の要素も担っていたと思います。

■ PQ本番 ■

PQの本番は2日間、日が暮れ始めたころにスタートしました。休憩エリアを練り歩き、オリジナルの仮面を配りながら、人々に声をかけ会場へ誘います。すると、どうでしょう!声をかけたほとんどの人々がENGI-MONの後をついてきてくれたのです。さながらハーメルンの笛吹き並の動員力です。250人以上のオーディエンスを引き連れて会場に到着しました。

カレル大学チームが大きな行灯を組み立て中央のオブジェを作りパフォーマンスがスタートします。PQ用のスペシャルなちんどん隊(ジュンマキ堂)の音楽に合わせて、踊り手と、だるまおかめのパペットによる演目が終わり、盆踊りの流れへ。日本では比較的大きな輪を作り踊るのですが、会場は人でいっぱいと言う嬉しい誤算です。盆踊りのボルテージは最高潮に達し、3回のアンコールに応え大団円となりました。

会場からは、Amazing,Happy, Positive, Energy, Exciting,Fantasticなどの嬉しい声をいただきました。たくさんの方々の応援と協力を得て、無事に公演を終えることができたことに大感謝です。チェコと日本のみならず、国籍も年齢も全て飛び越えて大きな大きな輪ができた素晴らしい瞬間でした。

会場の様子
2日目は行灯にライブペインティングも。この行灯はカレル大学で展示される事になりました

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この記事を書いた人

行貝 チヱ

行貝チヱ(Chiye NAMEGAI)
写真家・フォトコラージュアーティスト。劇場型移動式写真館「行貝写真館」主宰。国内外の展示やアートプロジェクトに多数参加。 
静岡東部で活動するScale Laboratorysy立ち上げメンバー。2019年のPQに向けて現在、南モラヴィアの中心地、美食の街Brnoにて語学と社会勉強中。
ウェヴサイト 行貝写真館Scale Laboratory
Email chiyenamegai@gmail.com