チェコと日本のスポーツ交流
チェコのスポーツ、日本のスポーツ
チェコでポピュラーなスポーツといえば、夏はサッカー、冬はアイスホッケーがまず思い浮かびますが、このうちサッカーは日本にも多くのファンがおり、Jリーグに代表されるプロのチームが活躍していますし、ワールドカップでの日本チームの動向に日本全体が一喜一憂したのは記憶に新しいところです。アイスホッケーは、プレイできる環境が日本では少ないためか、あまり盛んではありません。しかし、思いがけないところで、チェコと日本はスポーツ関係のつながりを持っています。

大相撲の優勝杯
その一つが相撲です。最も盛り上がる大相撲千秋楽のテレビ中継を見ていると、優勝力士の表彰式の中で、土俵上に駐日チェコ大使の姿を見かけることがあります。表彰式では、天皇賜杯、優勝旗、内閣総理大臣杯に続いて、外国からの賞の授与が行われるのですが、その順番の最初がチェコです。これは、外国の使節として優勝力士を表彰する伝統を、1970年の大阪万博を機として最初に始めたのがチェコだったからです。優勝杯はチェコの誇るモーゼル社のカットグラスです。また、優勝力士には副賞としてビール2ダースが贈られます。ビールの副賞というのが、いかにもチェコらしいですね。現在のところ、角界にチェコ人力士はおりませんが、以前、鳴門部屋に「隆の山」というチェコ人力士が在籍していたことがあります。平成23年には幕内に昇進し、前頭12枚目までいったことがありました。

マラソンの友好杯
チェコが友好杯を渡しているのは、相撲だけではありません。毎年12月初頭に行われる福岡国際マラソンでは、最高位の日本人ランナーに、また、同じ12月の末に岡山で行われる山陽女子ロードレースでは、第一位の選手に杯が渡されています。福岡は、1960年代に同大会で大活躍したチェコのパヴェル・カントレク選手を顕彰して、岡山は、当地出身で1930年にプラハで行われた第三回万国女子オリンピックの走り幅跳びで優勝した人見絹枝選手を記念して、賞の授与が行われるようになりました。

野球とチェコ
日本で最もポピュラーなスポーツである野球は、チェコでの知名度は低いですが、それでも一定の野球人口はおり、ナショナルチームも結成されています。2016年に福島県のいわき市で開催された「第3回WBSC U-15ベースボールワールドカップ2016 in いわき」には、このチェコチームも出場しました。これからは、チェコのチームも国際舞台で活躍する機会がどんどんと増えてくることでしょう。
このほか、チェコとスポーツといえば、体操のチャースラフスカー選手やマラソンのザートペク選手の名前を忘れるわけにはいきませんが、これらの世界的に有名なスポーツ選手については、また別の機会に譲ることにしましょう。
参考図書:猪木正実『日本女子陸上初の五輪メダリスト 伝説の人 人見絹枝の世界』(岡山文庫309 日本文教出版株式会社 2018)
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2018年7月、土俵上で表彰状を読むチェコ大使(日本相撲協会提供)