チェコの紙幣に描かれているのは誰?
お金を見ることによって、その国の歴史や文化が垣間見えることがあります。チェコには6種類のカラフルな紙幣があり、それぞれチェコの歴史に寄与した有名な人が描かれています。誰の肖像画なのか、ひとつずつ解説していきましょう。
100コルナ紙幣:ボヘミア王国の王/神聖ローマ帝国皇帝のカレル4世
1346年から1378年にかけてボヘミア国王として君臨した彼は、国家の父として広く認識されています。カレル4世の統治期間はボヘミアの黄金時代とされています。チェコ人にとって重要な存在であり、プラハのカレル橋やカレル大学など、カレル4世の名前を冠した建築物や施設が多く存在しています。
200コルナ紙幣:哲学者のヤン・アーモス・コメンスキー
教育に尽力した彼は、世界的にも近代教育の父とされています。同一年齢で学校に入学し、同じ内容の教育を受け、同時に卒業するという現代の一般的な学校教育の仕組みを作ったのがこのコメンスキーで、チェコでは彼の誕生日である3月28日は教師の日となっています。
ちなみにアルフォンス・ムハの大作「スラブ叙事詩」では、コメンスキーを主人公とした作品《ヤン・アーモス・コメンスキーのナールデンでの最後の日々》が描かれています。
500コルナ紙幣:作家のボジェナ・ニェムツォヴァー
オーストリアからの独立運動に携わった彼女の代表作は『おばあさん』。ボヘミアの農村での暮らしを探ったこの作品はチェコ文学の古典傑作とされており、学校の課題図書として扱われることが多いです。
1000コルナ紙幣:歴史家のフランティシェク・パラツキー
歴史に関する業績や活発な政治活動で知られており、カレル4世や後述のトマーシュ・マサリクと並んで国父のひとりとみなされています。モラヴィア地方の都市オロモウツのパラツキ―大学は彼にちなんで名づけられました。モラヴィア地方で1番、チェコ全体でも2番目に古い歴史を持つこの大学には医学部を含む8つの学部があり、日本からも毎年多くの留学生がやってきます。
2000コルナ紙幣:19世紀のオペラ歌手、エマ・デスティノヴァー
その美声は生まれのプラハのみでならず、国際的にも高い評価を得ました。2018年5月現在のレートで約1万円の2000コルナ紙幣、日本では1万円でガムなど少額の買い物もなんの問題もなくできますが、チェコではお釣りの紙幣が多くなることがあまり好まれないので、あまり出番はありません。
5000コルナ紙幣:チェコスロヴァキア建国者かつ初代大統領のトマーシュ・ガリッグ・マサリク
今年2018年、建国100周年を迎えるチェコスロバキアの初代大統領です。第一次世界大戦中、オーストリアに抵抗するための有志部隊であるチェコスロバキア軍団の結成に携わった彼は、今日に至るまで民主主義の象徴とされています。5000コルナ紙幣は額が大きすぎるためあまり実用的ではなく、旅行中にお目にかかることはほとんどなさそうです。