ワイン産地の中心地ミクロフへ

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ブルノから鉄道で約1時間30分-ミクロフはどんなところ?

丘の斜面に広がるミクロフの旧市街を遠望する。ミクロフ城がそびえ、その背後には聖なる丘の頂上に建つチャペルが見える。

モラヴィア地方南部のオーストリアとの国境が近いエリアは、チェコを代表するワイン産地。ワイン造りが盛んな村が点在し、ワイナリーめぐりが楽しめます。なかでもワイン産地の中心地といえる町がミクロフです。

ミクロフへはブジェツラフで乗換を

プラハからミクロフ、あるいはブルノからミクロフを訪れる場合は、スロバキア、あるいはオーストリアとの国境が近いブジェツラフBřeclavを経由することになります。プラハからブジェツラフはレイルジェットやユーロシティなどの特急列車で2時間30分から3時間、ブルノからなら快速列車Rxで、所要40分ほどでアクセスできます。

ブジェツラフ駅で出発を待つズノイモZnojmo方面への普通列車Os。ブジェツラフ~ズノイモは非電化区間で、気動車ののんびりした旅が楽しめる。

ブジェツラフからはズノイモ行きの各駅停車に乗り込みましょう。ミクロフへは一転、生活感あふれるローカル列車が、ごとごとと音を立てながら旅情とともに結んでいます。ブジェツラフからミクロフまでは所要30分弱の道のりです。この区間は非電化なので、頭上の架線がない分、空がひと際高く感じられるでしょう。気動車ならではのエンジン音と振動、そして国境近くの異国情緒がスパイスとなって、列車旅の醍醐味を思う存分味わえる24キロほどの小旅行となるでしょう。

ブジェツラフ発ミクロフ経由ズノイモ行きローカル列車の旅情あふれる車内風景。

ブジェツラフを出発した列車はエンジン音を轟かせながら、一面の田園風景のなかを快調に走ります。世界遺産ヴァルチツェ城の最寄り駅のValtice(3つ目の停車駅)、そしてモラヴィアを代表するワイナリーのあるSedlecを過ぎると、次がいよいよ目的地ミクロフです! ミクロフ到着前には、線路のぎりぎりまで展開するブドウ畑と、それらすべてを祝福するかのようにそびえる聖なる丘の車窓風景が出迎えてくれるでしょう。

ミクロフ到着前に右手車窓いっぱいに広がるミクロフ城と聖なる丘の風景。
ふだんは静まり返っているが、列車が到着すると活気を取り戻すミクロフ駅(2017年9月撮影)。
丘の斜面のミクロフの旧市街へは駅を背に徒歩15分ほど。駅前の跨線橋を渡るとそのままミクロフ城を目指して歩く。

日帰りはもったいない!

ミクロフを訪れるならモラヴィア地方の中心地ブルノを基点とするのがよく、ブルノ~ミクロフの所要時間はブジェツラフでの乗り継ぎ時間を考慮してもわずか1時間30分ほど、トータルで83キロの鉄道旅です。十分に日帰りが可能な距離および所要時間ですが、実はミクロフは見どころがいっぱいなんです。ぜひとも1泊して、地元産ワインとともにモラヴィアの魅力がぎゅっと凝縮されたような文化探訪を楽しんでみてはいかがでしょう。次回の記事ではそんなミクロフの見どころをご紹介します!

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この記事を書いた人

戸部 勲

毎年ヨーロッパのあちこちの鉄道に乗って取材して、鉄道旅行の楽しさを伝えるムックや書籍を作っている、イカロス出版の編集部員です。
チェコ共和国の旅客鉄道は日本同様、予約なしで気軽に利用できる公共交通手段。ローカル線から長距離列車、高速列車から夜行列車、国際列車まで、さまざまな種類の列車が走っています。
鉄道旅行の魅力は、住人目線で旅ができること。チェコの魅力にはまってリピーターになって、「もっと深くチェコを知りたい」、「もっとディープな旅がしたい」という想いを抑えきれなくなったら、ぜひプラハ本駅から鉄道に飛び乗って、風任せの自由気ままな旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。