プラハはミニシアター天国!〜通いつめたい個性派映画館3選〜
大規模なシネコンが乱立するようになった現代でも、プラハには街のあちこちにミニシアターが点在しており、映画文化の発信源として多くの市民に愛されています。
今回は、チェコに留学中の岩本菜々さんに、魅力的なミニシアターについて教えていただきました!
個性が光る3館を訪れて、プラハの豊かな映画文化の一部をのぞいてみませんか?
Kino Světozor(キノ スヴェトゾル)
プラハのミニシアターを語る上で欠かせないのが、街の中心部にある”Kino Světozor”。
50人収容から300人収容まで3つのスクリーンを所有しており、ハリウッド映画からここでしか見られないインディーズ映画まで、毎日様々な映画を上映しています。


映画館のドアを開けるとまず目を引くのが、壁に飾られたビンテージポスターの数々。
でもこれらはコレクションのほんの一部で、倉庫には2万枚以上のオリジナルプリントのポスターが眠っているのだとか。

チケットカウンター横のお店ではコレクションの一部を販売しており、
チェコスロバキア時代の映画の貴重なポスターなどを、200czk(約1000円)ほどから入手できます。

スチール写真は30czk(約150円)から。
世界各国の映画ポスターの山から、自分の好きな映画のポスターを見つけ出すのも楽しいひと時です。

映画館・映画監督・観客それぞれの距離が近いのも、この映画館の魅力の一つ。
例えば毎週月曜日に開催される”Documentary Mondays”では、実際に上映する映画の監督を招いての上映を行なっています。また観客が映画館のスポンサーになることも可能で、スポンサーになると観覧席の後ろに、小さく名前が刻印してもらえます。
Kino Aero(キノ アエロ)
中心地からは少し離れた場所にひっそりと佇むKino Aeroは、プラハで最も古い映画館の一つです。
この映画館では、過去の名作映画や国内外の独立系プロダクションから買い付けた映画を中心に上映しています。

この映画館の楽しみ方は、単に映画を見るだけに留まりません。
ロンドンの国立劇場やニューヨークのメトロポリタン・オペラと提携し公演のライブヴューイングを行っているほか、建築家やデザイナーなど10人ほどが各々のプロジェクトを発表し合う“Pecha Kucha Night”というトークイベントが年数回行われており、プラハのアートシーンの発信地となっています。

映画を見終わったら、館内のバーで映画の感想を語り合うのはいかがでしょうか。
映画通のスタッフがいる隠れ家的な空間の中で、数十種類のカクテルやクラフトビールを楽しむことができます。

Bio Oko(ビオ オコ)

子供向けのプログラムから、シニアのための割引上映まで、幅広い年代に開かれたプログラムを提供する映画館。
400人ほどが収容できるスクリーンの大きな特徴は、バラエティ豊かな椅子たち。ビーチチェアやソファ、車まで、様々な椅子が揃っています。

また、新たなジャンルを開拓したくなったら、映画館の目利きを信じて「ブラインドデート」をしてみるのはいかがでしょうか。この映画館では度々、タイトルを事前に公表せずに映画を上映する、”Blind date with Bio Oko” というイベントが行われています。入場料は無料で、観客は上映後に自分が払いたい分だけの観覧料を払います。
このようなイベントが成り立つのも、Bio Okoという映画館そのものが愛され、信頼されている証拠なのかもしれません。
また、Bio Okoのオンラインショップでは、タランティーノ、キューブリック、カレル・ゼマンなど名だたる監督の作品がプリントされたオリジナルTシャツも販売されています。
おわりに
チェコは日本よりも映画のチケットが安く、今回紹介した3館は、通常上映だと145czk、約700円で観ることができます。また多くの映画を英語字幕付きで上映しているため、外国人も気軽に足を運べます。
私が初めてチェコの映画館で映画を観た時に驚いたのは、面白いシーンで観客が大きな声をあげて笑うこと。(皮肉めいた台詞やブラックユーモアは、とりわけ受けがいい気がします…)話の展開についていけなかったとしても、その雰囲気を味わうだけで行ってみる価値があるかも。
今回ご紹介したのは数ある映画館のほんの一部!他にも様々な配給会社が映画館を運営しています。内装が息をのむほど美しいKino Lucerna、小さなレストランが併設されているKino Mat も一見の価値あり。プラハを訪れた際には、自分のお気に入りの映画館を見つけてみては?
岩本 菜々
プラハの大学に1年間交換留学し、映画制作やジャーナリズムについて学んでいます。プラハに来てからチェコ映画の面白さに気がつき、映画館に通う日々を送っています。