チェコの謝肉祭 マソプスト
マソプストと呼ばれる謝肉祭(masopust)は復活祭(イースター)の46日前の水曜日(四旬節)直前のお祭りです。2021年は2月11日(木)~2月16日(火)にあたります。チェコではどんなことをして過ごすのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
どんな行事があるの?
脂の木曜日
ザビヤチュカ(zabijačka)と呼ばれる豚の屠殺が行われ、豚肉の料理が振る舞われます。四旬節の長い断食の前にごちそうを食べるという習慣です。ザビヤチュカスープ(zabijačková polévka)、イトゥルニツェ(jitrnice)やイェリタ(jelita)と呼ばれるソーセージ、ハムなどの燻製肉の他、ドーナツなどの揚げ菓子も食べられます。1年元気に過ごせるよう、たくさん食べてたくさん飲むのがいいとされています。



踊りの日曜日
昼食にごちそうを食べた後、翌朝まで続くこともある踊りをしに出掛けます。それぞれの地方で名称や習慣は少し異なります。例えばプラハでは18世紀に富裕層向けにレドゥタ(reduta)と呼ばれる謝肉祭のパーティーが始まりました。
仮装の火曜日
謝肉祭週間のうち最も盛り上がる日で、仮装行列を見ることができます。
学生による演劇も上演され、「酔ったバックスの裁判(soud s opilcem Backhusem)」が最も人気の演目でしょう。
仮装の題材は、熊、馬、花嫁に花婿(花嫁に扮するのは男性で、花婿に扮するのは女性です)、籠を持った老婆や死神などです。列は音楽隊に率いられ、村中の家々を回っては音楽を奏で、歌い、踊ります。




灰の水曜日
謝肉祭の最終日の翌日です。イースター(復活祭)の46日前にあたり、四旬節、断食(大斎・小斎)が始まります。
チェコ国営テレビが作った「私たちの伝統」というドキュメンタリーシリーズで謝肉祭が取り上げられたときの映像です。チェコではどういうことが伝統・習慣で行われているのかがよくわかります。音声はチェコ語のみですが、映像を眺めるだけでも現地の雰囲気が味わえますよ!
※豚の屠殺のシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
謝肉祭のコブリハ(揚げドーナツ)
コブリハ(kobliha)は普段でもスーパーやベーカリーで目にするチェコの揚げドーナツです。朝食に食べる人もいます。穴のあいていない、丸くコロッとした形が特徴です。複数形のコブリヒ(koblihy)で目にすることもあるかもしれません。

せっかくなので、コブリハを家で作ってみませんか?
レシピはクックパッドで公開しています。
こぼれ話
チェコ語で謝肉祭はマソプスト(masopust)といいますが、マソプストという名字がチェコにはあるんです。
現役のサッカー選手 ルカーシュ・マソプスト(Lukáš Masopust)やかつてオリンピックでも活躍したアイスホッケー選手 カレル・マソプスト(Karel Masopust)がそうです。スポーツがお好きな方ならもしかしたら聞いたことがあるかもしれませんね。
また、謝肉祭は、たびたび音楽作品の題材にもなってきました。シューマンやサン=サーンス、そしてチェコの作曲家ドヴォルザークも作品を残したその一人。ドヴォルザークの『謝肉祭(Karneval)』は、『自然・人生・愛(Příroda, Život a Láska)』という序曲3部作の第2曲めに当たります。
お祭り騒ぎを彷彿とさせる、ドヴォルザークの『謝肉祭』。活気あふれる冒頭部分はこちらから: