チェコについて知るための本(1)

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チェコについては、日本でもこれまでにいろいろな形で紹介されています。ここでは書籍に的を絞って、何回かに分けて、チェコについてどのような本が日本で出ているか、ご紹介してみたいと思います。と言っても、チェコについての本は山のようにあるので、とてもその全部は紹介しきれませんが、これからチェコについて知りたいという方のために、基本的なものを挙げてみます。少し古い本の中には絶版になっているものもありますが、ネットを使ってAmazonなどで探したり、近くの図書館で検索すれば、案外簡単に読むことができるのではないでしょうか。

チェコの全体像を知るには

大使館には、日々、色々な問合せが寄せられますが、時々、「チェコについて手短に知ることができる日本語の本があれば教えてほしい」という質問が来ることがあります。そんな時には、以下の本を推薦することにしています。

薩摩秀登編著『チェコとスロヴァキアを知るための56章【第2版】』(明石書店、2009)

この本では、チェコとスロヴァキアの色々な分野の専門家たちが寄稿していて、歴史・政治・文化・芸術など様々な角度からチェコ(とスロヴァキアの)全体像を知ることが出来ます。それぞれの記事が独立しているので、通読をしなくとも、関心のあるものだけ拾い読みすることもできます。

百周年の記念の年に・・・

チェコとスロヴァキアは、昨年建国百周年(「チェコスロヴァキア」としての)を祝い、来年の2020年には、日本との外交関係樹立百周年を祝います。言ってみれば、歴史的な記念の年が続くわけですが、チェコという国がどのように成立してきたかを知るためには、以下のような本が参考となるでしょう。

日本と違い、チェコは周りを地続きで違う国に囲まれているので、それらの国の歴史もずっと昔から密接に絡んでおり、ヨーロッパ全体の情勢を掴んでいないと理解しづらい部分もありますが、そういう場合は、一般的な通史も参照しながら読み進めていくのがお薦めです。

このブログでも書いたことのある、ちょうど百年前のチェコスロヴァキア軍団やチェコスロヴァキアの建国については、以下の本が参考になります。

  • 林忠行『中欧の分裂と統合―マサリクとチェコスロヴァキア建国』(中公新書、1993)

この本を読めば、百年前にどうしてチェコとスロヴァキアの兵士たちがシベリアと通して日本に来るようなことになったのかや、チェコスロヴァキアの初代大統領となるマサリクが日本に立ち寄った経緯などもよくわかります。

日本語で読めるカレル・チャペックの本

文学に関して言えば、昨年生誕130年、来年没後80年を迎えるカレル・チャペックが、チェコの作家としては最も有名です。彼の主な著作はほとんど日本語に訳されていて、手軽に読むことが出来ます。訳者ごとにまとめると、次のようになります。

数あるチャペックの邦訳の一例

この他にも、英語やドイツ語からの重訳も合わせて、多くの翻訳があります。チャペックの作品は、哲学的な内容の長編小説から戯曲、探偵小説、旅行記、児童向けの読み物と多岐にわたっており、日本にも多くの愛読者がいます。また、次の2冊を読めば、チャペックという作家の全体像がよくわかるでしょう。

チャペックの研究書

チェコの若手作家の作品

阿部先生の訳書

また、最近では、東京大学の阿部賢一先生のおかげで、チェコの若手作家の作品も日本に紹介されるようになってきています。これまでに、アイヴァス『黄金時代』『もうひとつの街』、ブリッチ『夜な夜な天使は舞い降りる』などが訳されていますが、今回、チェコでも注目の作家ベロヴァーの『湖』の訳が完成し、4月24日には邦訳出版記念イベントがチェコ大使館でも行われます。事前申し込み制ですが、また空きがありますので、関心のある方は下のリンクから申し込みをしてみてください。

ビアンカ・ベロヴァー『湖』邦訳出版記念イベント(4/24、チェコ大使館)申込方法はこちら

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この記事を書いた人

駐日チェコ共和国大使館

駐日チェコ共和国大使館は、日本においてチェコ共和国を代表する機関として位置付けられています。
ビザ取得手続きや証明書認証をサポートする領事部、日本とチェコの政治情報を扱う政務部、経済・ビジネス面での両国間の発展を手助けする経済・商務部、文化活動を推進する文化部などがひとつのチームとして、チェコと日本の架け橋となって活動しています。
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