100年の歴史を誇る、チェコの糸ボタン

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カラフルでコロコロしていて、つながるとまるで芸術作品のよう。
ひとつひとつに目を凝らしてみると、細い糸で丁寧に細工が施されていて、思わず触ってみたくなってしまう。
今回はそんなチェコの糸ボタンの魅力について、CHARKHA/チャルカの久保さんに語っていただきました。

グルグルの糸模様、ペタンコの形。可愛くて優しいチェコの糸ボタンとは?

輪っかにグルグルと巻きつけた糸が模様になり、平たい形ゆえに使い道が広がる糸ボタン。2〜3色を組み合わせたり、ステッチ色を効かせたりと巻きつけ方を工夫して雰囲気を変え、サイズもいろいろ。シンプルな造りながら糸ボタンの魅力は奥深いのです。「Thread Button」として知られ、約100年の歴史あるチェコの伝統産業です。

糸ボタンの使い方

糸ボタンは日本ではまだ見慣れないので、丸くてコロンと可愛いけどこれは何だろうとか、どうやって使うのかと思われる方が多いと思います。ヨーロッパ製のシーツや枕、パジャマなどについているのを見たことがありませんか? 当たっても痛くないようにと平べったく、主に寝具まわりのものに使用されます。使い方はシンプルで、糸が集まっている真ん中をすくって針を通し(貫通してもしなくてもOK)、布に縫い付けます。もちろん洗濯もできます。

糸ボタンはこんな風に作ります

糸ボタンを作っている会社は「Antonin Slesinger(アントニーン・スレシンガー)」と言います。チェコの北東部、山あいの町Jablonne nad Orilici(ヤブロネー・ナト・オルリツィー)にあります。町の中を川が流れ、山に囲まれた自然が豊かな地方の町で、20キロほど北はもうポーランドになります。

糸ボタン作りは20世紀にはじめに職人の合間仕事や農家の冬の収入源としてこの地に根付きました。この時はまだ手作業で1つずつボタンを作っていましたが、増加する需要に対応しようと作業の効率化をはかったスレシンガー氏が192?年に作業所を設立し、ミシンを導入しました。以来、当時のミシンを使い続けながら町の大切な産業として続いています。

糸ボタンは古いミシンを使って半手作業で作られます

どんな風に作られるかを説明しましょう。アルミニウムの板から細いリングを型抜きします。リングを固定しミシンを踏むとリングの周りに糸が巻き付きます。その糸が解けたり動いたりしないように、リングの内側に別の向きのステッチを入れます。このときにステッチの色を変えたり、幅を変えたりすれば模様に変化がつきます。つまり、リングの内側は糸だけなのでどこにでも針を刺すことができます。

工場では黙々と手を動かす女性が数人。ダダダーッ、ダダダーッとミシンを踏む音が響きます。一見簡単な作業のように見えますが、糸のひき具合が強ければボタンは変形するし、緩ければ解けやすくなります。糸の目も揃えないと綺麗な仕上がりになりません。注意深い作業を繰り返さなければならず、根気を必要とする地味な仕事です。

糸ボタンの最大のニーズはベッドリネンでしたが、シーツがジッパー留めになり、需要がへこみはじめました。ドイツやオーストリアにあった同じタイプのボタン会社が姿を消し、今では世界中でチェコのアントニーン・スレシンガー一社のみとなりました。

100年の歴史を持つスレシンガー社。社会主義時代は国営化されたり、民営化後はドイツの支援を受けたりしながら、現在は若き経営者シェディ氏がいろいろと手を尽くしています。人が半手作業で作るということは、製造の上で自由度があるということ。ドイツの高級ベッドリネンメーカーのために限定色を作ったり、製造できる最大のサイズを試みたり、廃盤になっていた最小サイズを復活したり。

 

チャルカでは4種類のサイズのリングを定番に、20色近い色とその組み合せでボタンを注文しています。小さなサイズはシャツやカーディガンのボタンとしてとっておすすめ。コットンや麻生地など自然素材の服に良く馴染みます。脚がないことから優しいボタンとも言えます。背中に縫い付けて使用し、寝転がったり椅子にもたれても痛くありません。子供服やペットの服にぴったりです。

糸ボタン同士を縫って繋ぎ合わせてブローチにしたり、丸カンや金具を使って耳飾りにするのもおすすめ。なにせ軽いので身につけていてストレスがありません。薄い生地にも用いられます。コームに縫い留めて髪飾りにしたり。アイデア次第、使い道いろいろ。手芸好きの方たちの何かを作りたい心に触れるボタンとして、日本でも愛されることでしょう。

CHARKHA/チャルカ
チャルカにあるのは、チェコやハンガリーなど東欧から持ち帰った雑貨や旅のカケラ。
古いものに新しいもの、アジ紙、置きもの、食器、民芸品、手仕事もの、宝物にガラクタもあります。
そして、地元大阪でつくる、オリジナル文房具。

OPEN 水〜土と第2&第4日曜日 13:00〜18:00
CLOSED 月&火、第1&第3&第5日曜日
〒542-0066
大阪市中央区瓦屋町1-5-23
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